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わたうちのおはなし その1わたうちのおはなし

 昭和20年代の頃までは、入り組んだ深い谷や起伏に飛んだ丘陵地が多く、それらを縫うように鎌倉への街道が通る静かな農村地帯だった。
 春、山々は新緑につつまれ、どこかでウグイスが鳴いている。夏の夜は、カエルが合唱する中をホタルが飛び交い、秋は稲穂があたたかい日ざしに輝き、数えきれないほどの赤とんぼが舞う。冬はシンと凍る大気の中に、ひっそりと民家の影がたたずむ。時折、庭先にヒヨドリが顔を出し、南天の実をついばむ。
 山つつじや山百合の咲く山道、ウグイスやヤマドリ、モズのさえずる林。子供たちは林にはいってセミやカブトムシを捕り、小川でエビやサワガニ獲りに興じたものである。また、だだをこねると「ごろすけ(フクロウ)に食わせるぞ」と親たちに叱られたりした。
 恵まれた自然の中での生活だったが、山あいの村の日の出は遅く、日没は早いため、稲や麦を乾燥させるのに大変手がかかり、町まで出るのも非常に不便だった。
 高谷小学校開校以前は、子供たちは村岡小学校までの約3kmの道を、足を露で濡らしながら通学していた。

藤沢市高谷付近
**昭和51年頃**
   
東海道線辻堂駅 関東特殊製鋼 国道134号線 浜見山交差点 踏切り