江ノ島のおはなし その1

 江の島は大昔、片瀬山や腰越と陸続きだったが、浸蝕作用や地殻変動によって現在の島の形を形成したといわれている。また吾妻鏡によれば、鎌倉時代に江の島が隆起し、引き潮の時に砂州が現れるようになったとされている。

 古くから伝わる「江之島縁起」によると、腰越付近の沼に五つの頭を持つ龍が住み、洪水や飢饉、人を飲むなど、いろいろな害を与えていたという。あるとき、村の長者のこども16人が一人残らずのみこまれ、村から長者が出て行ったため、沼へ行く道を「子死越(腰越)」と呼ぶようになった。村人は災難を避けるため、毎年幼いこども達を沼へ連れて行くようになり、平穏な日々を送っていた。

 ところが突然、天地が揺れ動き、海中の爆発が起きて島が生まれ、たちこめた雲の上に天女があらわれた。それを見た龍は、天女に結婚を申し込むが、悪行を問われる。天女に諭された龍は心を入れかえ、人々を守ることを約束して天女と結婚した。以後龍は天女とともに村人に尽くした。龍はのちに山(竜口山)となり、村人は心を入れかえた龍を竜口神明社に祀り、江の島は弁財天信仰の霊地となった。

江ノ島のおはなし その1

江の島航空写真
**1970年頃**